あなたはこんな思いを抱いたことはありませんか?
- 家計管理をしなきゃいけないけど、どれくらい節約すればいいのかわからない
- このままで老後資金が不足しないのか知りたい
- 投資を始めようと思うけど、将来に向けた資産運用の目標利回りを知りたい
- 子供の大学入学までにいくら教育費として貯金をしていれば安心か知りたい
こうした不安を解決する手段があります。それは家計のキャッシュフロー計算書を作ることです。
家計のキャッシュフロー計算書を作成することで、あなたの家庭の家計状況で、将来どんな資産推移を示すかが、はっきりと分かるようになります。
このページでは、このキャッシュフロー計算書の作り方を紹介します。
家計のキャッシュフロー計算書とは?
キャッシュフロー計算書と聞くと、会社会計に使われる財務三表のことを思い浮かべる方が多いと思います。
財務三表とは、
- キャッシュフロー計算書
- 貸借対照表
- 損益計算書
の3つの書類の総称です
このうちキャッシュフロー計算書とは、「現金・預金がどれくらい増減したのかを計算する書類」と紹介されています。
このキャッシュフロー計算書により、手元にどのくらいの現金が残るのか?がわかります。
このキャッシュフロー計算書をあなたの家計にも適用していきます。
なぜ家計のキャッシュフロー計算書を作成するのか?
あなたは家計簿をつけたことがあるでしょうか?
その家計簿にはおそらく
- 現在と過去のあなたの資産状況
- 現在と過去のあなたの家計の収支
が記載・表示されているでしょう。
では将来に関するあなたの資産状況・家計の収支についてはいかがでしょうか?
大半の家計簿の場合、将来に関するあなたの資産状況や家計の収支データはまったく手に入れることが出来ないでしょう。
そのような状態で、将来のあなたの家計が健全かどうか判断できるでしょうか?
現在のあなたの家計が健全でも、お子さんの人数や教育費によって破綻をきたすかもしれません。
また、将来が不安だからといって、節約をして貯金や投資に資金を回す人もいるでしょう。
でも、その貯金や投資額は過剰になっていませんか?必要以上に節約して今を楽しめていなかったりしませんか?
そんな将来に渡る予定や不安に対する備えに過不足がないか?
その疑問に対して、予想される「手元に入ってくるお金」と「手元から出ていくお金」を整理することで、将来のあなたの家計状況がわかるようする。
それが家計のキャッシュフロー計算書の役割なのです。
家計のキャッシュフロー計算書を使った家計診断
この家計のキャッシュフロー計算書を作成すると、その結果を用いて、次のような検討が出来ます。
- 老後生活が厳しそうだから、今から生活費を節約して老後資金をもう少し貯めよう
- 子供が大学進学までに、この金額まで貯金できていれば大丈夫そうだ
- 投資利回りをこれくらいにすれば、将来は心配なさそうだ
こういった適切な判断をするために、家計のキャッシュフロー計算書を用いてみましょう。
ただ注意点が一つ。それは家計のキャッシュフロー計算書は定期的に見直すこと。
将来に渡って、
- 商品の物価
- 給与水準
- 教育費用水準
- 家族の人数
- 投資の利回り目安
など、家計のキャッシュフロー計算書に関する項目は変動します。
一度作成したキャッシュフロー計算書通りに資産状況が進むことは稀です。
毎年はやりすぎですが、5年に1回くらいのペースで見直すと、その時々で適切な判断が取れます。
家計のキャッシュフロー計算書をダウンロードしてみよう
それでは、家計のキャッシュフロー計算書を作成していきますが、「そんな難しい書類、実際に作るの大変じゃないの?」と思われた方もいるでしょう。
そんな方に向けて、簡単に家計のキャッシュフロー計算書を作成できるエクセルファイルを作成しました。
このファイルは日本FP協会HPで公開されている家計のキャッシュフロー表をアレンジして作成しました。
エクセルで作成しているので、エクセルが得意な方なら改造も出来ます。
※マクロは組んでいないので、ご安心ください。
実際にこのファイルを使った、家計のキャッシュフロー計算書の作成方法を紹介します。
なお、現在の資産額や利回りを入力して、簡単な試算推移をシミュレーションしたい場合は、こちらの記事で紹介している計算フォームを試してみてください。
もしこのファイルについて「もっとこうしてほしい」とか「ここの入力のやり方が分からない」といったことがありましたら、こちらを使ってお問い合わせください。
家計のキャッシュフロー計算書の作り方
先ほどダウンロードしたファイルは4つの入力シートから構成されています。
- 家族構成・資産構成入力シート
- 収入入力シート
- 支出入力シート
- 教育費設定入力シート
それぞれの入力方法について、順を追って説明していきます。
※エクセル画面を貼り付けますが、黄色で塗りつぶしているセルを入力してください
家族構成・資産構成入力シート
まずは家族構成・資産構成入力シートです。

- 開始年:キャッシュフローを計算する最初の年を入力します。特にこだわりなければ現在の年でいいです。
- 家族構成:あなたの家族の生年月日を入力します。まだお子さんがいない方は将来の日付を入力してみてください。
- 現在資産:夫婦の現在保有している資産内容を入力してください。株式や不動産は現在の価値金額でよいです。
- 資産平均利回り:ここは現在資産の平均利回りでも良いですし、自分が目標としたい平均利回りでもよいです。ゼロにすれば、預貯金のみでどうキャッシュフローが推移するかが評価できます。
収入入力シート
次に収入入力シートです。

- 収入見込み推移:夫婦それぞれの月手取り収入(D列)とボーナス年額(E列)を入力します。C列に西暦年を入力することで、時期ごとに細かく設定できるようにしています。育児休暇等で無収入が見込まれる時期は、D列とE列にゼロを入力すれば設定できます。
- 年金:夫婦の年金受給見込み額を入力します。お互いの受給見込み額はねんきんネットを使うことで試算することができます。

- 一時収入:退職金や個人年金保険など一時的な収入について入力します。C列に収入が発生する西暦を、D列に金額を入力してください。A列の項目名は判別できれば入力は不要です。
支出入力シート
続いて支出入力シートです。

- 基本生活費:住宅関連費や自動車関連費、教育費を除いた生活費を入力します。子供1人当たり増額の値は、食費や携帯代などの通信費、交通費をイメージして設定してみてください。
- 家賃or住宅ローン返済額:月々の家賃や住宅ローン返済額を入力します。ライフスタイルによって金額が変わる可能性もあるので、時期ごとで金額を変えられるようにしています。
- 自動車ローン支払い:月々の自動車ローン支払い額を入力します。こちらもライフスタイルによって金額を変えられるようにしています
- 自動車関連費用:駐車場や自動車保険、ガソリン代は月額、自動車税や車検費用は年平均額を入力してください
- 娯楽・旅行・帰省・イベント費:ここは旅行や家電購入といった月々発生しないような費用を入力してください。この額が家庭のゆとりを示す指標になります。

- 一時的支出:マイホームや自動車購入時の頭金、結婚式の費用といったスポット的に発生する支出を入力します。C列に支出が発生する西暦を、D列に金額を入力してください。A列の項目名は判別できれば入力は不要です。
教育費設定入力シート
最後に教育費設定入力シートです。

- 教育パターン選択:保育園~大学院の各ステージでどういったパターンで子供に教育を受けさせたいかを選択してください。保育園や幼稚園、大学・大学院については”なし”の選択肢がありますので、保育園や幼稚園に通わせることは考えていない、子供は高校卒業までで考えたい場合は”なし”を選んでください。
- 大学仕送り:また大学在学中に子供に仕送りをしたい場合は、J列に月々の仕送り額を入力してください。
なお、各パターン別の費用は、
- 文部科学省 子供の学習費調査
- 厚生労働省「地域児童福祉事業等調査結果の概況 平成27年
- 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
- 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)平成30年度
を参考にした平均的な金額としています。
個別の金額調整は「支出入力シート」の一時的支出の入力欄で実施してください。
以上で、設定は終了です。さぁ結果を見てみましょう!
家計のキャッシュフロー計算書の計算結果を見てみよう
ここまで入力した内容を反映した結果は、「キャッシュフローグラフ」シートで確認することができます。

棒グラフがあなたの家庭の年ごとの支出額合計、折れ線グラフが資産合計の推移となります。
※このグラフはこれまで示していた手順に示している数値と違った値で作っています。
この例だと18年後ごろから急激に資産が減っていますが、これは子供が大学入学したタイミングです。
また35年後ごろから資産が減る一方になっていますが、ここは夫婦ともに退職して年金生活に入ったタイミングです。
このように家計のキャッシュフロー計算書を作成することで将来にかけて、資産がどのように変動しているかが一目でわかるようにシミュレーションできるのです。
このグラフを使って、
- 老後生活が厳しそうだから、今から生活費を節約して老後資金をもう少し貯めよう
- 子供が大学進学までに、この金額まで貯金できていれば大丈夫そうだ
- 投資利回りをこれくらいにすれば、将来は心配なさそうだ
といったように、あなたに見合った今後の家計管理・資産運用の目標が設定できるようなります。
まとめ
この記事では、私が作成したキャッシュフロー計算書の使い方について紹介しました。
家計管理にしても、資産運用にしても目標を明確に設定することが重要です。
その目標設定にこのキャッシュフロー計算書の作成によるシミュレーションは非常に有効な手段です。
家計管理や資産運用を考えたいけど、まずどうしていいか分からないと思っている方はぜひこのキャッシュフロー計算書の作成を試してみてください。
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